クイズの神様

170706

クイズには神様がいる。
クイズだけじゃない。日本古来よりの考え方によると、あらゆるものに総勢八百万の神様がいるのだ。

クイズの神様はときに大変なご褒美をくれるが、大抵はこっちが「申し訳ありません」とつい言ってしまうような状況を提示する。そういう存在だ。

ところで、僕が子供のころに見たテレビ番組でいくつか印象に残っているものがある。
そのうちの1つに今で言う「衝撃映像」的なものがある。

最近はどこの局でもしょっちゅうやっているネタだが、昔はこういう類のものは少なく、滅多にやらないので放送するときは必ず見ていた。
そしてそれはやはり日テレの『木曜スペシャル』枠だったと記憶している(笑)

その番組の中で僕にはどうしても忘れられないものがある。
台風なのかハリケーンなのかサイクロンなのかはわからないんだけど、海外のとある吊り橋(といっても車が通れるようなデカいやつね)が極度の暴風にあおられブランコのように揺れているという映像だった。

結局その橋はグルングルン揺れたあとにワイヤーが次々に切れて川に流されてしまうのだが、僕の印象に残っているのは、そのときのナレーションなのだ。
実はその橋は手抜き工事がされていたものであり、そのまさに手抜きがされた箇所が最初に切れてしまい、そして崩壊してしまうのである。
で、ナレーション。

「自然は一番弱い場所を知っている」

これね、子供心に怖かったのよ(笑)
今から考えたら、そりゃ手抜き工事の部分は強度が低いんだから、力がかかれば脆弱な部分からダメになるに決まってるじゃん、ってなるんだけど、昔はそんなこと考えないから、「そうかー、自然にはわかるのかー」って純粋に捉えてしまったわけだ。(アホだ)

そしてそれを「神様の怒り」とかと勝手に結びつけてしまった長戸少年は、物事は手を抜かずにちゃんとやらないといけないものなのだ、と思うようになったのである。
よく言われる「神様が見てるよー」、そのものだ。

で、クイズの話。
クイズにも神様がいる。

なぜかクイズでは、「知ってる問題」と「知らない問題」とそして、「知るはずだった問題」(笑)が出題される。

この「知るはずだった問題」(結局は「知らない問題」なんだけどね(笑))、最も多いのが時事問題絡みである。
問題のネタは押さえていたんだけど、その一歩奥のデータを仕入れるのを忘れていた、という状況だ。わかるかな。

問題文に出てくるネタは知ってんねん、その名前も知ってんねん、でもオマエが今出した、その部分だけまだ憶えてないねんー、というやつね。

で、こういうときは決して顔には出さないんだけど、「しまったーっっっっっ!」って小さい「つ」が5つぐらい並んでしまう。
そして出題された後に「それ、調べようと思ってたんだよなー」って後悔するのだ。

以前に出たTBSの『クイズ神』でもこのことがあった。
僕は準決勝の多答問題で負けてしまうんだけど、ちゃんと対策として前夜ホテルで多答問題は死ぬほどやっていたのだ。
しかしあまりにも時間が少なく、そのうちの数問の確認を怠ってしまった。

その中の1つに「関ジャニ∞のメンバー」というものがあった。
これ、紙に書くなら大丈夫だったのだが、名前の正確な読みがわからなかったのだ。それで「明日、ホテルを出る前に時間があったら調べよう」と思って僕は寝たのだった。

当然のことながら朝にそんなことをする暇もなく、ほどなく収録はスタート。
この話の展開はもう読めたと思うけど、せっかく進出したその準決勝で、まさに「関ジャニ∞のメンバー」という問題がまんま出たのだ。(また当たった(笑))

あの形式だと名前の読み間違いは敵にヒントとなってしまうため、黙っているしかなく、そして僕はあえなくそこで敗れてしまった。
たぶんあの問題を正解していたら流れは完全に捉えることができたはずで、大逆転勝利を手にしたと思う。それがわかったので本当に悔しかった。
そしてクイズの神様に心の中で「申し訳ありません」と頭を下げたのだった。

「自然は・・・」という例のナレーションが収録中にもかかわらず頭の中をぐるぐる回っていた。(全然成長してない)

そして先日の『クイズサバイバー』。
クイズの神様は1対1の対戦で降りてきた(笑)

この番組に出場が決まって僕がまずしたことは、過去の放送をすべて見る、だった。
ウチでは美子様が出られる番組は自動録画になっているので(笑)、過去の放送はすべて残っていたのである。ラッキーと思いながらもとりあえずそれを見た。

で、最初に感じたのが「基本的な問題を洗わないといけないな」だった。
これは途中の形式(この時は「100問組手」とは思わなかったが)はよしとして、最後の1対1での問題は基本的なものが出されるのがわかったからである。
クイズそのものの勉強を平成になってからほとんどやっていないため、「問題は知ってるが答を忘れた」というもののオンパレード。まずその基本からやらないといけないという判断だった。

しかしながら、途中の形式をどうするかと思いを巡らせるに従って違うことを考えるようになった。
「これは『Qさま!』と『ミラクル9』を研究した方がいいかも知れない!」

なんでそんなこと考えてしまったのか、後悔先に立たずなんだけど、とにかくそう思うってしまったのだった。
そしてやはり『Qさま!』も『ミラクル9』も自動録画されている(笑) しかしこっちは数がやたら多く、結局見るだけで大変な時間と労力をかけることとなった。

そんなこんなで、『サバイバー』の収録も終盤。
僕はなぜか1対1のメンバーに選ばれてしまい、一度切ってしまった気持ちをセットしている中クイズがスタート。
最初の伊沢君が答えているときだった。
このとき、「あ、しまった、ここの対策をしてなかった」って初めて思い出してしまうのである(笑)
父ちゃん情けなくて涙が出てくらぁ。

もうこういうメンタルになったら負けが忍び寄ってくる。
そしてあの問題。当然ながら僕は玉砕した。

これに絡んでもう1つ「クイズあるある」を。
クイズって面白いもので、なぜか憶えられないもの、というのがあったりする。
他の誰にとっても簡単な問題なのに、その人にとってだけ正解できない問題、というようなものだ。
原因は何かわからないんだけど、ものすごく単純なことなのに、出題されると正解できないのである。
あれどっちだったっけ、とか考えたり、ひどいときには、前にこっちを答えて間違ったはずだから、今度はこっちを答えてみようとか思って答えて間違ったり。(前回も同じように考えて間違えていたりする)

僕にとってベタ問題の中にも「どうしても間違う問題」は何問かあるんだけど、そのうちの1問がまさに「在職日数1位の首相」だったのだ。ウソみたいなホントの話。

首相を答える問題には、最長何次やったとか連続最長日数とかいろいろある。昔からどうもこの手のネタが頭の中で整理されない。
しかもこの日の収録の前日だったかに安倍晋三首相が在職日数歴代3位になったという新聞記事があり、間の悪いことにそこには「佐藤栄作、吉田茂に次いで」という文章があった。
流し読みをしたので「戦後」というキーワードを見逃してしまったのがアホだったんだけどね。

まああの出題で、吉田茂をスルーしたタイミングで押して佐藤栄作を誤答したら、そりゃ斉藤慎二さんにはやられるわな。
彼が桂太郎を知っていた可能性もあるけど、あのタイミングだったら「吉田をスルーして佐藤で誤答だから、正解は残りの桂か」と判断するに決まってるもんね。今尾ちゃんを倒した斉藤さんだもんなー。

実はこの桂太郎の問題も、本来ならチェックするはずだった問題のリストに入っていたのが後でわかった。
そして、なーんだオレ、クイズ神から全然成長してないじゃん、と思ったのだった。
ごめんなー、クイズ王チームのみんな。
やっぱりクイズに出るなら、ちゃんとやらないといけないのよねー。

「自然は一番弱い場所を知っている」
申し訳ございません。

今週は反省と言い訳ばっかりだったな(笑)

ではまた来週の木曜日。