大声クイズの話
161201
このコラムの読者には「第13回ウルトラクイズ」のファンの方も少なくないはず。今回はそっち寄りの話をしてみましょう。
今年の『高校生クイズ』でも行われた「大声クイズ」がもともと『ウルトラクイズ』の名物クイズの1つというのは周知の事実。解答者のみんなそれぞれが違うフレーズの言葉を叫び、その声量でスイッチが入ってハットが立つ(解答権を得る)というヤツだ。
これは本当に上手い形式で舌を巻く。まさにテレビ向き。
とにかく見た目が抜群で、誰が「解答権を奪取しに向かってる」のかが一目瞭然だ。「早押し系」であるにもかかわらず、「わかった!」から「解答権を取った!」までの間にタイムラグがあるのも実に面白い。
しかもどんな言葉を叫ばせるかで解答者のキャラクターを視聴者に確認させることもできる。いやー、とにかく素晴らしいクイズ形式だ。
僕が出場した『第13回』でもやっぱり行われた。ニュージーランドのショットオーバー(あのバンジージャンプの)というチェックポイントでだった。
僕が叫んだ言葉は今や有名(?)な「秋利帰れー!」である。
これは直前に秋利が言わされた「長戸帰れー!」に呼応したもので、このやり取りは本編でも流れた。
つまりこの言葉はあの場のアドリブで作られたものなのだ。
じゃあ本当は僕は何を叫ぶはずだったのか。
本放送からすでに四半世紀以上の時間が経っている。これまでこの「本当はどんな言葉を叫ぶはずだったんですか?」って質問は、「罰ゲームって本当にやるんですか?」並みに無茶苦茶たくさんあった。もちろん例外なくコアなファンからだったけど(笑)
この話、トークライブではおなじみのネタであるにも関わらずちゃんと文章にして書いたのは初めてかも知れない。確かに気になる人には気になる話だろう。気にならない人にはこれほどどうでもいいことはない。でもわざわざ僕のホームページまで来てコラムを読んでる人は前者が多いと思うので書いてみようと思う。
さて、真相を語る前にちょっと確認すると、この「秋利帰れー!」の「秋利」とはこの回の準決勝で負けてしまう秋利美紀雄(現・美記雄)のこと。名古屋大学クイズ研の創始者で、僕とは同時期にクイズを頑張っていた人。「花の昭和40年度生まれ」のメンバーの1人だ。
しかし本編では「旧知の友」という部分が隠されており、最初から最後まで「ライバル」という図式にあてはめられていた。
昔からの友人であることがわからなかったため僕の叔母などは本気で「あの何でも突っかかってくる秋なんとかって人、嫌いやわー」とか言ってたもんなあ(笑)
叔母には「いや、実はそういうことではなくてやね・・・」と説明したのを覚えてる。
まあそんな感じの上での「長戸帰れー!」に対する「秋利帰れー!」だった。しかしながら結局それが上手い具合にはまってるんだよねー。
じゃあもしあのとき、僕が水を向けられても、「いや、気にしないっす。」みたいに乗っかからなかったらどうなっていたのか。その場合は話の展開上「秋利帰れー!」にはならなかったはずだ。
実はそこは僕もツアー中ずっと気になっていた。それで賞品地、サンフランシスコでの夜に、司会のトメさん(福留功男さん)とたしか構成の萩原(津年武)さんと3人でバーで飲んだときに聞いてみたのだ。
つまり、「本当はどんな言葉を叫ぶはずだったんですか?」っていう質問を最初にしたのは他ならぬ僕だったわけだ(笑)
で、アッサリ答えが返ってきた。なんと実際に用意されていたものはあったのだ。それが
「マルタ、今行くぞー!」
なんだって(笑) ほんまかいな。
これ、本当だったら面倒な選択だったんじゃないかなと思う。
この「大声クイズ」は4週目のオンエアなんだけど、その段階では彼女の話は一切出てなかったから。
(あ、ここでもう1つ確認ね。「マルタ」ってのは僕のアルゼンチンのガールフレンドの名前。ツアー中はずっと彼女の写真を持っていてお守り代わりにしてたのだ)
「マルタ」という名前を出してしまうと辻褄合わせのために、ある程度前のチェックポイントから彼女の存在を出さないといけなくなり、構成が全然変わってきたはずだ。
だからこの言葉は、あるにはあったけど最初から出す気はなかった、ってのが真相じゃないかなって僕は勝手に思っている。
でも本当のところはそうじゃないかも知れない。真相はスタッフだけが知っている。
プロデューサーの加藤就一さんあたりだったら、「長戸、ホンマにお前は浅いなあ」とか言われそう。
ところでクイズの作戦的には「マルタ、今行くぞー!」だったら、「(マル)ター!」でハットを上げて、それを確認してから「今行くぞー!」って言うに限るな。ちなみに「秋利帰れー!」だったら「(秋利)か!(えれー!) (ボケぇ)」の1文字で十分。実際に僕はこの方法でハットを上げている。
秋利は現在ベトナム在住でアパレル関係の仕事をしていたりする。
なんと彼はこの大声クイズのセリフをモチーフにした通称「帰れTシャツ」(なんじゃそりゃ)というのを作った。
まだしっかり売れ残っている(笑) 興味のある方はぜひこちらの方で購入してやってください。
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ではまた来週の木曜日。