3週目!!! (1989年11月9日)

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というわけで折り返し地点の3週目である。
この回はご本人もよく言ってるが「永田さんの回」である。僕なんかよりも彼が大活躍する週だ。

ではさっき終わったばかりの放送の観戦記を、今回もつらつらと書いてみよう。

◆ ◆ ◆

●タイトル

「んー、きてます!」
「って知らんで。来てますって言われてもなあ」
この頃にはもうマリックさんのブームは過ぎてしまってたのだろうか。僕はまだ彼をシドニーで見たっきりだったのだ。

そして『スタートレック』のテーマが流れる。
この回のオープニングのナレーションの言い回しが、いかにも『ウルトラクイズ』って感じで大好きである。5週目もよかったな。これらが双璧かなー。

●ブルーマウンテン

シーニックレールウェイに乗った高所恐怖症のトメさん。ナレーションで思わず、「最大斜度52度、世界一のロープウェイ…」と口走ってしまう。
いや、あれはどう見てもケーブルカーですぜ。

そしてここで挑戦者紹介のコーナーが!
「まだ3週目やし人数も多いからアッサリしてるなー。それぞれにコメントが入るのは来週ぐらいか」

そしてお待ちかねのルート紹介。
「まだ“ROUT”やん! いいのかそれで!」

そして本編。
「あー、ブルマンのレイギャルー。この子この子。可愛い」
ハグした時に一番強くハグをし返してくれた子ね。

ここでの僕のクイズの勝負服はトレーナーで、左胸にはちょっとわかりにくいけどロゴが入っている。これは『エンドレスナイト』という関西ローカルの番組のものだ。
実はこのトレーナーが僕と永田さんを結びつけた。

1980年代中頃、『オールナイトフジ』をネットしてなかった関西テレビが金曜深夜に「終了時間未定」を売りに放送し、若者に爆発的な人気を誇っていた番組こそがこの『エンドレスナイト』だった。
そこではたまに『ウルトラクイズ』をパクった『ウルトラ風クイズ』というものをやっていた。パクリモノだったがちゃんとツアーとしてチェックポイントを回り、泊まりもしてクイズの勝ち抜き戦をするのである。
回は違うが僕も永田さんもしっかりその番組で爪痕を残している。
ところで永田さんが『第10回ウルトラクイズ』でグアムまで勝ち残っていたのは有名だが、彼が機内ペーパーの後、タラップから降りてくる時に着ていた服こそが同じ『エンドレスナイト』のシャツだったのである。(『第10回』が再放送されたらここのエピソードも書きたいと思うが、今はまだ謎のままにしておこう)
『第10回』が放送された年の年末に僕は永田さんと初めて会うのだが、僕が最初に声を掛けて話した話題は当然『エンドレスナイト』だった。最初に話し掛けるのには勇気が要る。でも永田さんには楽だった記憶がある。それはこのシャツのおかげなのである。

さてクイズである。
ブルーマウンテンでの「二重音声クイズ」で特筆すべきものは、やはり伊藤トシノリの伝説の珍解答「巨人ジャイアンツ」だろう。
正解は「読売ジャイアンツ」または「読売」または「ジャイアンツ」または「巨人(軍)」の4種類に決まってる。それを「まあいいでしょう」というトメさんに「ごめんなさい」で済ませてしまうトシノリ。いやー、いい時代だったねー。たしかにクイズは競技であり戦いでもあるんだけど、テレビでもサークルでもこのユルさも必要なんだよなー。クイズはこうでなきゃねー。

そうこうしているうちに恒川も勝ち抜ける。
「オモチャの人形みたいな動きしとるな、こいつ」

小室さんが負けた後、及川が泣き、その後僕と彼が階段を上るシーンがある。
サンフランシスコの夜にここのシーンをトメさんがいたく褒めてくれていたのを思い出す。
「パーンとカメラが切り替わると若い2人が上を向いて未来への階段を上がって行くんだよ」
酒を飲みながらトメさん、そんなこと言ってたなー。

小室さんの罰ゲームは「歩いて帰る」だった。
いいねー、これぞウルトラの基本「自力で帰る(笑)」だ。そしてやはり帰国は「?」だ!

●シドニー

よく見たらRUQSの4人で服を揃えてる。そういや何かそんな話をしたなあ。
でもあのトレーナーは僕はもう持ってないんじゃなかったかな。連載していた雑誌の読者プレゼントであげたような気がする。

クイズ開始。と、その直後、階段の向こうからおびただしい数のオーストラリア人が登場(笑)正直これは怖かった。「何が始まるねん!」と思った。

オーストラリアの人々と日本の関係のVが流れるが、ここから発生したプチ流行語が
「焼きそびです」
だった。これは「焼きそば」を「焼きとり」と混同した人が言い間違えたものだと推測された。
そういや京都の北大路にあった洋食屋の壁に「エビフラフ」と書かれていた紙が貼ってあったなあと思い出す。あれは「エビフライ」だったのだろうか、「エビピラフ」だったのだろうか、どっちの書き間違いなのか結局わからず、何度行っても注文する勇気が出なかった。
「焼きそび」を聞きながらそんな青春時代のほろ苦い1ページを思い出した。

●「賽銭箱」の問題。
どうでもいいけどあの使い込んだ賽銭箱はどこから持ってきたのだろう。あれだけわざわざ飛行機に乗せて来たのだろうか。そうとしか考えられないのだが。まさかのオーストラリア神社というのがあって、そこから借りて来たのか?
ってそもそも賽銭箱って頼んだら借りられるものなのか?

●「布団乾燥機」の問題。
どうでもいいけど「大きなコンドームテスター」ってアリなのか? 女子中高生や小学生なんかも見てるっつーの。茶の間が気まずくなってチャンネル回されたりしてなかったのだろうか心配である。

●「ふんどし」の問題。
ここで勝ち抜けた秋利と僕がハグをするシーンが流れる。
仲が悪くないのがバレるやん。それでいいのかスタッフ。

●「ウルトラクイズ」の問題。
ここでトメさんが「大声を出す大会」とコメントをするが、ここで彼の右後ろで見切れてるスタッフこそが藤原さんである。
そしてこの問題で見逃せないのがドームの映像だ。
トメさんの「第1問、勝ち残るぞ!」の煽りに「おー」と応えるスポーツマンタイプの男性がいる。この人、クイズで勝ち残っていないのに、何と1週目から次の4週目まて連続でオンエアに乗っかるという唯一の人だったりする。これは何気に凄い。

●敗者復活戦

「そうかー、こんなとこで、こんなことをやってたんやー」
次のチェックポイントでいきなり永田さんが「ワタル!」とか言うて、意味がわからんかったけど、こんなクイズやってるんやったらそら忘れんなあ。

ってその場合、永田さんにも罰ゲームは続いてるってことやん(笑)
いや、それだけじゃない。僕もまだちゃんと全部覚えてるし、これを読んでいる人の多くも15個完答できるはずだ。つまりあれは史上唯一ともいえる「視聴者も道連れにされてしまう罰ゲーム」だったのである。
しかしながら僕にとってはこの方法が後に『ワールド☆レコーズ』で生きて来ることになるのだが、それはまた別の話。(森本レオの声で)

●ニュージーランド上陸!

「おー、小出さーん」
今週の敗者予想はここかー。
でもやっぱりコンピュータ予想の方がええなー。
「落 秋利美紀雄 23 山口 10.7%」
こういうやつなー。

●クイーンズタウン

やって来ましたクイーンズタウン。
「そうそう、この湖、ホンマに綺麗やったなあ」
多分このツアー中でここが一番景色が良かったのではないかと思われる。

オープニングで羊の毛を刈るシーンが流れる。ちなみに、「今日も朝から一日中 〜 たちまちひつじは丸はだか」と歌うBGMは、オーストラリア民謡の『調子をそろえてクリック・クリック・クリック』である。僕らの年代ではNHKの『みんなのうた』でもおなじみだ。

クイズがスタートする。
「ハリーアップ!」とトメさんに促されている僕がいきなり登場するが、そこで僕が言ってる言葉は「ちょっと待って。写真が出ない!」である。
聞き取りづらい言葉だと思うんだけど5週目が放送される前に届いたファンレターにはすでに「彼女さんの写真持ってたんですね」ってのがあったもんなあ。いやー、全くもってファンの解析力はすごい。

ちなみに途中でゲームの様子が空撮されているが、これもモーリーのバラマキ同様、スタッフによるリハーサルの様子である。よく見ると僕と田川さんの位置の2人が対決をしている。しかしそのパターンは実際にはなかったのだ。だいたい僕は1回しか対決席には行ってないのである。その時の対戦相手は関根だった。

今回の僕の勝負服はオールブラックスのユニフォーム。
この服を買った店の近くでスタッフにばったり会ったんだけど、僕がシャツを買ったと言ったら、その人は「ちゃんと襟を立てないとダメなんだよ」とのアドバイスをしてくれた。だからちゃんと本編でも襟を立てている。

そんな僕は「ワイナリー!」で1抜け。それを見ての感想は
「何か下手な押し方やなー」

勝ち抜けた僕がレイギャルをハグしている時に言っている言葉は
「Muchas gracias」
である。確実に誰かと間違ってたのかも知れない(笑)

ところでこの後、「アドルフに告ぐ」で永田さんは勝ち抜ける。その時に彼のメガネがずり落ちてしまうハプニングがある。永田さんはボルチモアでも同じメガネ落ちを演じてしまうのだが、これは彼の「ハットの顎紐を耳の後ろに通す」というクセのためである。
よく見るとハットの紐を耳の後ろに通す人は案外少なく、『第13回』では秋利がたまにやっている程度なのだ。

ここのクイズで負けたのは阿部姉。
罰ゲームは「これぞ罰ゲーム!」というもの。『第13回』最高の罰ゲームだった。

ちなみに阿部姉が船内で聞いて涙を流す曲は『ユー・アー・マイ・サンシャイン』である。これは有名か。
この週はそのままこの曲でエンディング。
通常ならエンディング曲も『スタートレック』なんだけど、なぜか今週はこのままだった。これは実に珍しい。でもむちゃくちゃオシャレやん。

「うー、今週はここまでかー」

◆ ◆ ◆

3週目にもなってくるとそろそろ周辺が騒がしくなってきていた。

四条通りを普通にチャリで疾走している時、女子大生あたりの集団から「長戸くーん!」って声を掛けられたのが象徴的な出来事だったなあ。とうとう始まったか、と思った。

3週目の放送が終わった直後、今回の話にも出てきた藤原さんから我が家に電話があった。
なんでも5週目の編集を途中だそうで、ナレーションなどの原稿を書いているところだった模様。気分転換の意味で電話を掛けて来てくれたみたいで旅の話などで盛り上がった。

僕にとっては藤原さんとこのタイミングで話せるのはラッキーだった。
というのも、僕は最初の機内ペーパーの時からずっとマルタの写真を印象的に出しているにも関わらず全然オンエアしてくれてなかった。この電話でそのクレームを入れるチャンスが生まれたからだ。

「そろそろマルタも出してくれないと、世の中が面倒なことになって来てるんですが(笑)」という僕に、
「いや、こっちにも都合があるんだよ」
と藤原さん。
でも僕のお願いに折れた彼が加藤さんに進言してくれたのか、5週目になってやっとマルタが登場することになった。
テレビを見ていた人は唐突に登場したように思えるのだろうが、現地ではスムースな展開だったのだ。

僕はようやくホッとした。しかし翌年の関東地区での再放送では放送枠が全週1時間半のためこのマルタの部分はオールカットだったらしい。だからそこで初めて僕を知ってファンレターを書いてくれた人はかなりのラブラブ熱が高かった。しかも、「あの『クイズは創造力』のマルタってなんですか?」という質問もよくあったのだった。
たのむよー日本テレビー。

ではまた来週の木曜日!