問題を作るなら
180628
SODALITEのクラスを持つようになってから、問題制作の量が半端ないものになった。それも単純な早押し問題や択一問題ではなく、使われるクイズ形式が最も映える問題を新しく作るという作業が主となっている。
僕がクイズ問題を作る時は、だいたいは今書いたように先に形式を考えてその後に問題を揃えるというスタイルなのだけど、それとは反対に、先に面白い問題を思いついてその1問を輝かせるためだけに新しい形式を練るというパターンもある。
これはアーティストが楽曲を作るときに先に詞を書く「詞先」なのか、曲を先に作る「曲先」なのかという違いに似ている。
ところで僕は従来からずっと言ってるのだけど、ビギナーは問題を作ってはいけないと思っている。そんな暇があったら問題を解く側に回れと考えているからだ。
しかしながら問題を作るということの魅力にビギナーでもつい囚われてしまうという事実があるのは知っている。そしてたしかにクイズ問題を作ることそのものがクイズに強くなる方法の1つであることも知っている。ただ、それをやる時期の問題なのだ。
とはいえ僕がどう言っても問題を作るビギナーは出て来るのだから(笑)、今回はそんな人に対してのアドバイスをしてみよう。どうせ問題を作るなら、である。
まずは第1段階だ。
最初のテーマは「大量に作る」である。
どうせ問題を作るなら、それこそたくさん作ることが大事だ。
何でもそうなのだけど、とにかく最初は「一気に」そして「大量に」を心掛けるのがいい。回数にしても量にしても多ければ多いほどいいのだ。たとえそれが1年とかの短い時間に終わってもダラダラちょっとずつ10年やるより確実に実力は伸びる。
このとき、問題文が上手いとか下手だとかはどうでもいい。クイズ仲間に酷評されようが無視すればいい。とにかく「大量に」を心掛けよう。
クイズ問題にはクイズ問題ならではの言い回しや文法があるが、そういったものを意識することなく突き進むのである(笑)
これは英会話の上達方法と似ている。とかく日本人は文法や言い回しの正しさを意識しすぎる傾向にあるが(もちろん僕もそうなんだけど(笑))、でもそんなものちょっと横に置いておいてガンガン英語で喋りかける方が圧倒的な速さで上達できるのだ。
僕はそれをスペイン語で身をもって知った。まったく話せない状態で南米に出掛けたが、話さないと生きていけないので間違っていようがとにかくガンガン話した。すると英語よりもスムーズに言葉が出て来るようになったのだ。あれには驚いた。数か月後には女の子を口説いていたぐらいだし(笑)
クイズ問題も一緒で、ガンガン大量に作っているうちに問題文そのものに慣れて来る。そしてその状態で出題される側に回ったとき、いろんなことがスッと体の中に入って来るのだ。そしてそれらが徐々に自分の中で培われて行ってそのうちに上手くなるのである。
初めから上手くやろうなんて思わないことが大事だ。「大量に」作る、それが最初のポイントだ。
そして第2段階。
次のテーマは「問題のポジションを意識する」である。
問題作りに慣れてきて、文法や言い回しが自分のものになってきたら、次は問題のポジションを意識してみよう。
これは冒頭に書いたことに通じている。どういうことかというと、クイズの問題にはそれぞれ「最も輝ける居場所がある」からそれを考えるのである。
たとえば同じ「早押し問題」であっても、じっくり問題を聞かせて勝負を盛り上げる時と、「1問正解したらカードをめくる」みたいな、問題そのものを道具的に使う時とでは問題文の長さも違うべきなのだ。当然、前者ならちょっと長めでもアリ。後者なら短文を意識する、ということである。
問題文の長さだけでなく出題ジャンルも形式によっては意識しないといけない場合もある。それだけではない。季節や時事的なことを加味しないといけないことも少なくない。
僕的にはこういうことが意識できて初めて「問題制作の第一歩」を踏み出した、と思うのだ。(あ、すでにビギナーを通り越しての中級者へのアドバイスになっている!(笑))
ちなみに当然のことながら、ここから先にはさらに深い話が広がる。しかし今回は最初ということで触れないでおくことにする。
さて、第3段階である。これがちょっと難しいかも知れないんだけど、それは「引っ掛け問題を作る」を意識してみようということだ。(さらにレベルが上がっている!(笑))
問題にはそれぞれ輝ける場所があるのと同時に、場所を輝かせる問題というのもそれぞれにはあるのだ。
そのうちの1つが「引っ掛け問題」だ。
僕には昔から「百の形式に百の引っ掛け」があると思っている。
それゆえに新しい形式を考える時には、同時にそこで解答者を引っ掛ける問題も考える。
引っ掛け問題というと騙す問題というイメージがあるが、実はそれだけでなく、解答者を笑わせる問題などもそれに属する。いずれにしても緊張のさ中における緩和をもたらせる効果があるものを指していると思ってもらって間違いない。
引っ掛け問題を作るには、それこそ高度な技術が必要である。
勘違いさせるにせよ笑わせるにせよ、いずれにしてもまずは解答者として相当な技量がなければならない。先の英会話でいうと「英語を使って笑わせる」というものと言えようか。使う単語、言い回しだけでなく、会話の間(ま)、相手の文化的な背景などもちゃんとわかっていないと本当の爆笑は取れないはずだ。
問題を作ることに慣れてきたら、ぜひ引っ掛け問題を作ってみてほしい。
それがマスターできれば、解答者の心だけでなく時間の流れの速さまでも自由に操れることができるようになる。そうなるとクイズのもっと深く面白い部分を感じることができるのだ。
ビギナーから一気に数段階上までの問題制作のテーマを紹介した。どうせ問題を作るなら、その域まで達するようにしてみよう。そこまでやると見えて来る世界があり新しい発見があるのは間違いない。
しかしながら!敢えて繰り返しの確認となるが、ビギナーは問題を作らないように!(笑) そんな時間があったらとにかく問題を解こう。それも大量な問題を!
ではまた来週の木曜日。