長戸流クイズの勉強法 その1
170209
コラムの本編に行く前に、ベトナム在住のA利からいきなりメッセージが届いたので紹介しようと思う。
帰れTシャツに在庫一掃セールやってるから宣伝してくれや。売り尽くし半
額セールやぞ。明日のコラムはこのネタやな。
このコラムを商業利用するんじゃない!
とりあえず、例のTシャツを売り切るそうな。セールのおかげでアマゾンで人気商品の1位なんだと。詳しくは下記へ。
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これでええんか?今回だけやぞ!
では本編です。ぜんぜんノリが違う文章です(笑)
このコラムでもそろそろ具体的な「クイズの勉強法」を書いてみようと思う。
前に「クイズの『同じ』と『違い』」という題名のコラムの中で書いた通り、クイズはスポーツと同じで指導法が確立しているわけではない。だからここで書かれるクイズの方法論は一切が長戸勇人の考え方によるもので、普遍ではないことを先に断っておく。
つまりすべてが「長戸流」なのである。免許皆伝したかったら僕に食らいついてくればいいし、どうでもいいなら適当に読み流してほしい。
さて、ここから先、アドバイスの対象を2種類に分けようと思う。
1つが「初心者」に対するもの、そしてもう1つが「ベテラン」に対するものだ。
ただし、実績や結果が伴っていないベテランは初心者に含まれる。クイズもスポーツなので、単に長い時間やってるからといって結果が出るものではない。大相撲に例えるなら、20代前半の横綱と30代後半の幕下と考えればいいだろう。
僕のアドバイスは基本、初心者に向けたものである。そして今回の文章も初心者に向けたものである。
ベテランに本気で書くのも面白いんだけど、むちゃくちゃディープになったり観念的、哲学的になったりしてほとんどの読者を置き去りにすることが間違いない(笑)
まあ、それらもいつかは試しに書いてみるかも知れないけど。
あ、そうそう、一口に「初心者」といっても、別に強くなりたいと思わない、って人には長戸流のアドバイスはあんまり関係ないかも知れない。「突き抜けた強さ」を渇望している人にだけ、効果があると思ってほしい。
長戸流のクイズの勉強法の大きな柱の1つは「問題を解くこと」である。
これは「ひたすら問題を解く」であり、「アホみたいに問題を解く」という感覚のものだ。
で、この解く「問題」の質をとにかく重要視したい。
書店で売られているクイズ問題集なら最低限OK。テレビで放送された問題をまとめたもの、だったらGOODである。
反対に、初心者の場合に絶対にやってはいけないことが、「自作問題を解く」である。
これは逆に言うと、「初心者は自作問題を作るな」、ということになる。これは昔からずっと言ってること。本気で「突き抜けた強さ」が欲しいんだったら、初心者のうちは絶対に自作問題の世界に足を踏み入れてはいけない。
その理由は何か、それはあとで説明する。
自作問題の次にやめた方がいいのが、「自分以外の初心者が作った問題を解く」である。
これはネットなんかに溢れている問題だ。他にもどれがどうなのかいろいろ指摘できるものがあるけど、長くなるのでやめておく(笑)
で、いい問題群を手に入れれば、後はそれらをひたすら解くことになるんだけど、ここで最も大事なポイントが登場する。それは、その問題集の中にある「時事問題」や「ウソ問題」の扱いである。
「時事問題」は、出題された時期に旬だったものや人を扱ったクイズ問題で、得てして細かすぎたり、旬を過ぎると一気に腐敗臭が出るものだったりする。
「ウソ問題」は、問題文の内容が解答する瞬間の世界において事実ではない、というもの。
いくつか種類があって、まず「内容が変化したもの」が挙げられる。
たとえば「世界で最も広い国は?」という問題があったとして、その答えが「ロシア」なのか「ソ連」なのか、これは解答する時期によって正誤が違うはず。しかももしこの問題文が20世紀の初頭に作られていたら、やっぱり「ロシア」が正解の可能性がある。
この他、「よく調べたら間違っていた」問題や、「問題文に情報不足がある」問題、「出題者が勘違いをしていた」問題などがある。
一口に「ウソ問題」といっても、最初の「内容が変化したもの」は時事問題の要素があるともいえる。
ではこれらの「時事問題」と「ウソ問題」、これをどう扱うか、ここが長戸流の最大のポイントとなる。僕はこれらを「全て憶えろ」と教えている。
すぐ使えなくなるような問題、間違った知識をインストールしてしまう問題、これらを全て憶えるべき、というのだ。
たぶん多くの人が「いや、それは違うだろう」と思ったかも知れない。でも僕はそう思うのだ。
それはなぜか、ちゃんと解説してみようか。
まず「初心者」が何者か、ということだ。たしかにクイズ問題には「良問」や「愚問」は存在する。しかしながら、初心者にそれがわかるのか、という話なのである。
何を基準に「言い」「悪い」を言うのか。その基準は正しいのか。ちょっと考えればすぐわかる。
だから1つ目の理由として、初心者は、問題がいいか悪いか、時事かウソか、そんなこと考えないで問題を解きまくれ、ということなのである。
でも、ウソをインストールするのはイヤだ、という人がいるかも知れない。これ、実績や結果が出てないベテランに多く見られる。
じゃあ試しにやってみればいい。気になった問題に対して、今ならネットがあるんだから、調べるだけ調べて問題の穴を突いたり、正しい知識を知ってみればいい。
これね、なんと、とっても面白いのだ(笑)
「やってみればいい」と僕は言ったが、別に突き放しているわけでもバカにしているわけでもない。純粋にやってみれば、と言ったのだ。
これね、ハマるのよ。新しく正しい知識が入った感覚は新鮮な満足感があるし、その「問題の間違い」は「自分だけの特別なもの」って感じるから。
わかるかな。だからやっちゃダメなのよ。
ここで最初に書いた、「自作問題は作るな」が登場する。
自作問題を作るときもよく似た手続きが含まれることがある。出すからにはちゃんと調べよう、と思うからだ。
クイズに興味がある人間にとって、この「調べる」って行為は麻薬みたいなものなのである。
実はクイズを「出題する」って行為にも中毒性がある。だから「自作問題を出題する」初心者は、クスリでイッてるヤツ、って感じになるのだ。(どんなたとえや)
あ、もちろん初心者だけの話ね。結果の出てないベテランとね。
初心者のあなたに必要なことは次の3つしかない。
1つは問題を解くこと、2つ目は問題をひたすら解くこと、3つ目は問題をアホみたいに解くこと、である。
そのなかに、調べ物をする、なんて時間はないのだ。調べてわかって得た知識の数と、その時間に問題を解いて得た知識の数には大きな差がある。さっき中毒性がある、って書いたけど、すなわちその差は時間とともに広がるわけだ。そしてそれは想像以上にデカい差を生むのだ。
これが2つ目の理由である。でも心配しなくていい。正しい知識はいつか必ず手に入る。手に入れる方法もちゃんとある。前に進んでいけば見えてくる。またそれはいずれ伝えるから安心して。
さて、最後、3つ目の理由である。
これは「時事問題」も「ウソ問題」も、実はどっちも有用だから、というものだ。
まずは時事問題。
時事問題には「後で効いてくる」性質がある。
ベタ問題に「俗に、後で効くといわれるのは、親の意見と何でしょう?」「正解:冷や酒」ってのがあるけど、実際には「冷や酒と時事問題」が正しい(笑)
時事問題は、思いがけないところで、思いがけない効果で、あなたを救ってくれる。僕は何度も経験した。でもこれは救ってもらえた人間しか経験できないことで、救われなかった人が「オレは救われなかったー」とは感じないものなのだ。だから、時事問題を軽く扱っている人はこんな経験をしていないからますます時事問題を軽く扱ってしまう。まあどうでもいいんだけど。
そしてウソ問題。これがねー、いいんだよ、ウソをインストールしているってことが。
突き抜けた強さを欲しているあなたがいるクイズの場には、さっきの中毒性にやられてラリってるヤツもいるわけ。もし問題にウソがあったとき、そいつがちゃんと正しいことをドヤ顔で解説してくれる。
しかもそのタイミングがあなたが押して間違ったときだったら、それは大きな恥ずかしさなどを伴って紹介されることになる。これがミソだ。初心者の時期はクイズではいかにたくさん間違うか、いかにたくさん負けるかが財産なのだ。そうやって記憶したことは決して忘れないからね。
そしてなぜか、そういうところで間違った問題が、これまた実際の勝負のいいところで出題されるんだよなー。
さて、問題の扱いがわかったところで、では、具体的にどれぐらいの量をこなせばいいのか、という話に移ろう。
と思ったけど、ちょっと長くなったので続きは来週に。
クイズの方法論はつい話が長くなってしまっていかん。
弟子連中にだったらもっと短いんだけどね。「問題?作るな」。これだけだから(笑)
理由を説明するとか絶対にしないのだ。理由を聞いて納得しないと師匠の言うことが聞けない奴はそもそも弟子ではないので(笑) それが長戸流のクイズなの。
ではまた来週の木曜日。