令和の時代にパンティーを思う

211007

早いものでもう「令和」も3年目が終わりに近づいていたりする。昭和どころか平成もすごい勢いで過去になってきてるのが実感できる。

平成の終わりに「ソーダライト」というクイズの店が誕生し、そこに関わったことで「クイズ問題を出題する」という時間が格段に増えた。まさか自分の人生にとって3つ目の元号の時代でここまでクイズを出題することになるとは夢にも思わなかった。

僕が出題するクイズ問題はアカデミックなものからくだらないものまで多岐に渡る。どっちかというと後者が多いのが申し訳ない。
たとえば以前、ソーダライトでのあるクラスでこういう問題を出題した。

問題)
デートの日に女の子が身につける、見られることを前提としたデザインや色のブラジャーやパンティーを俗に「何下着」という?

正解)
勝負下着

どんな問題、出してんねん(笑) 一歩間違えたらセクハラやんけ。

で、出題時は普通に正解が出て(笑)何事もなく過ぎたのだがイベントが終わってから解答者のなかのある女の子が僕にクレームをつけてきた。

「いま、誰も『パンティー』って言わないと思います」

「はあ?パンティーはパンティーでしょ?違うの?」(確認しますがソーダライトの会場での会話です(笑))

で、よくよく聞いてみれば「パンティー」なんて言葉ほ今はほとんど使われておらず、女性の下着を意味する場合は「パンツ」や「下着」「ショーツ」などが主流とのこと。へぇー。
じゃあズボンを意味する「パンツ」とはどうやって区別するのかって聞いたら、それはアクセントとニュアンスでわかり合うらしい。ほんまかいな。

「パンティーが死語やったら、キミ、まさか『スキャンティー』も意味わからんのか?象さんのスキャンティーやで!スキャンダル+パンティーでスキャンティーやで!」と喧嘩を売るような言葉が喉まで出かけたけど流石にそれは飲み込んだ。
(あ、「スキャンダル+パンティー=スキャンティー」ってガセなんだってね)

「パンティー」なんて今や誰も言わない、というのはホンマなのか。あまりに意外なことだったのでヤホーで検索してみた。
すると僕にとって意外な言葉が出てくる出てくる。

「パンティーは死語です」
「パンティーはオヤジ語です!」

なんやとー! マジか!
ちょっと焦ってきた僕はさらに検索してみる。

「パンティーはオヤジ語ではありません。・・・」

おー、ほらみろ。ガセやんけ。

「・・・エロオヤジ語です。」

待ったれや! ランク下がっとるやんけ!

とにかく散々なことが書かれていたのだった。
さらに検索をしてみると、今度はB級クイズネタになりそうな話さえ見つかった。

かつて日本を震撼させた「連続幼女誘拐事件」というのがあった。40代以上の人ならリアルに記憶している、あのM君の事件だ。
憶えているだろうか、当初あの事件での犯行声明が認められた手紙は女性の名前で投函されていた。(差出人の名前、憶えていますか? 今度出題しますよ(笑))

でもそれはすぐにウソだと見破られた。
新聞に掲載された手紙の全文を読んだ若い女性たちから「この手紙を書いたのは男です!」という指摘が相次いだためだ。
その理由がすごい。

「女性はパンティなんて言葉は使いません!」

何と、これがその指摘の理由だったのである。

ところで、僕が優勝した『第13回アメリカ横断ウルトラクイズ』の第1問目は東京ドーム予選当日の読売新聞朝刊に掲載されていた。
そのときの朝刊、すなわち1989年8月13日付の1面トップの記事はこの事件を扱っている。M君の顔写真も掲載されている。つまりその頃にはすでに事件は解決していたのだった。『13回ウルトラ』の放送を確認できる方は見てほしい。一瞬1面が映るから。

さて1989年は平成元年である。
犯行声明はその前年に話題になっていたわけなので、事件は実は昭和の時代のものだったのだ。
何が言いたいのかというと、かの女性たちの指摘は昭和の時代にすでにあったということなのだ。ということは平成という時代ではその最初から「パンティー」という言葉は女性からすっかり使われなくなってしまっていたということなのだ。知らんかったー。

そして令和の今である。
昭和から平成をすり抜けてエロオヤジ語にまで堕ちてしまった「パンティー」という言葉を、僕は生きた形でそのままなんの疑いもなく使ってしまっていたのだった(笑) アホ満開やん。

クイズの問題文を作るとき、問題が正しいかどうか、というチェックは最低限するが、その言葉が生きているかどうか、というところまでは残念ながら手が回らない。

以前にこのコラムで、死語を生きているもののように扱うことにもクイズの重要な意義がある、みたいなことを書いたけど、でもそれも完全な死語の場合の話で、今回のような「いい塩梅で腐ってきている」段階ではまだまだアカンのだった。
よく一発屋の芸人が10年ぐらい経って「一周回って面白い」ってなることがあるが、それで言えばまだ半周しか回っていない、最も面白くないころのようだったのだ。どんなたとえやねん。

今回、迂闊にクイズを出題してわかったことは、いろんな問題によって解答者に密かに「このエロオヤジ!」などと思われてることだった。そういうのって多分にあるんだろうなあと思ってしまったぜ。

とはいっても、こういうのはいちいち確認できないわけなのでもう思われたら思われたで仕方ないと思ってあきらめるしかない。
そもそも実際のところも、いい加減歳も食ってきてエロオヤジっちゃあエロオヤジなんだからね。もう睾丸の美少年、もとい、紅顔の美少年ではないのだった。(遠い目)

というわけでまた次回。